◆今のお仕事とこれまで
1. 今、どんな活動をされているか、ざっくり教えていただけますか?
(公財)湘南振興財団に所属しており、藤沢市等近隣の市町村の産業振興のため、起業家や新規事業者を支援するインキュベーション施設「湘南藤沢インキュベーションセンター」の企画・立ち上げや、また同財団が運営するロボット展示・体験施設・交流拠点の企画と管理・運営に携わっています。さらに、歳を重ねた現在も起業・創業支援にも注力しているほか、IM(インキュベーションマネージャー)の育成にも励んでいます。
2. この道に入ったきっかけや、最初に関わった地域のことって覚えてますか?
御縁がありこの財団に入りました。最初に関わった仕事は「景気動向調査」という事業でした。市内にある中小企業を回って、現在の事業内容や外的な要因を伺い、会社の動向をレポートとしてまとめる仕事をしていました。しかし、今思うと色々な社長と知り合って社長たちの武勇伝を聞くことが一番大事な仕事だったような気がします。その後、自治体初となるインターネットプロバイダー事業の立ち上げ、それから経理、総務を歩んできました。そんなある日、当時の専務理事から「インキュベートルーム作るから先進的なモデルを見てきて」と言われ、その一言からこの世界に足を踏み入れました。
◆支援者としての姿勢・スタンス
3. 長く支援をされてきて、変わらず大切にしていることってありますか?
支援者(経営者)のために「一生懸命に動く」ことです。今まで色んな経営者と関わりを持ってきましたが共通していえることは、経営者は「孤独」であるということ。同じ組織の役員や従業員とは接していても、抱えている悩みを打ち明けることは容易ではないことを分かるようになりました。このような心のケアも含め、経営者に寄り添い、悩みや相談を聞いた際には、スピード感を持って一生懸命考え動き、相談に応じた複数の情報提供や提案などを行う事を大切にしています。経営者の事業の支えと心の支えを行っていくことで、距離が近くなり良好な関係が構築されます。本当に大切にしています。
4. 地域で新事業を目指す人たちと接する時、どんなふうに向き合っていますか?
先程、お伝えした「一生懸命動く」ことをポリシーとして、「よく聴く」ことです。これから起業・創業する人達は、何も分からない状態で相談にきます。こちらの意見を押し付けることはせず、「相手がどういう事をしたい・知りたい」を聞いてから、会話をしていきます。不安な気持ちで相談に来る方もいます。その不安を払拭し、事業化に至るまで直に向きあってお手伝いをしています。
5. 「これはうまくいったなぁ」と思える支援のエピソードってありますか?
EVバイクの事業の立ち上げにどっぷり浸かったことでしょうか。この会社の社長は宅配バイクを修理している事業を行っていました。何千、何万のガソリンバイクを修理していて思ったことがありました。それは、「宅配バイクの修理をしていることでわかったことがあり、これを強みにしてEVバイクを作ろう!」でした。
資金がなく、お金も借りにくい時代だったので国・県・市の補助金や受託事業を調べ、神奈川県の受託事業がたまたま取れて試作開発を行いました。翌年も同じ事業が受託できて量産の試作開発までできました。同時に会社を興すわけですが、大手バイクメーカーと同じことをするので、法的なルール等の理解とそれは色々と大変なことがありました。
6. 逆に、「これは悔しかった」「今でも考える」ような経験はありますか?
これは常にあります(笑)。が、悔しい気持ちよりは、次に頑張ろうというスタンスでお手伝いをしています。
◆人となりが伝わるように
7.ご自身の支援スタイルって、ひと言で言うとどんな感じだと思います?
シンプルに言いますと「がむしゃら」が合っているのかと思います。支援者側としては、経営者の相談に対して消極的にならず、前向きに一生懸命に動くことと考えています。私の性格から、フットワークを軽くして、がむしゃらに動くことが経営者をフォローするスタイルと思います。
8.支援していると、相談者の熱量に逆に元気をもらう瞬間ってありませんか?
勿論あります。経営者や起業相談者の方、人となりは、様々ですが、「この事業をやりたい」という強い気持ちはいつも話をしていて伝わります。こちらが元気をもらうことばかりです。相談を頂く皆さんのエネルギーが、私の原動力といっても過言ではありません。
9.周りの人からは、どんなふうに見られてると思いますか?
そうですね。常に猪突猛進なので、周囲の方々からは『勤勉で努力家』と見られているところがあるかもしれません。しかし、休むときは、しっかり休んでプライベートも楽しんでいます。仕事とプライベートの両立は大切ですからね。
◆産業創造師になって
10.シニアIM、そして産業創造師になったときの思いや違いは何かありますか。
そうですね。起業家支援に対する取り組みが、おぼろげながらですがゴールから見えるようになったことでしょうか。シニアIM、産業創造師となってから、より強く感じています。
11.造師としての取り組みや考えについて自分なりの考えはありますか
高齢者の増加・人口減少が著しい昨今、人手不足の問題解決とロボット産業の振興のため、ロボットと触れ合える施設が市内に2つあります。起業家が言う藤沢市が地域社会の課題解決だけでなく、ロボット産業の先進地域として子供達のプログラミング教育の体験から、また、ご自身の経験・体験を通じてのお仕事につながる起業家教育までを目指して取り組んでいます。
◆地域とのつながり
12この地域で支援を続けてこられた理由や、思い入れってどこにありますか?
一番は「人」ですね。藤沢市の人達は、温かい人柄と熱い熱量を持っています。支援者としての立場である一方で、こちらが地域の人々から支援をいただく機会も多く、本当に環境に恵まれています。だからこそ、やりがいを持って、藤沢市で今の仕事を続けていられると思います。
13「この地域だからこそ起業支援が面白い」と感じる瞬間ってありますか?
藤沢市は、南は相模湾に面し、北は相模原台地の緩やかな丘陵が続く気候温暖な自然環境に恵まれており住みやすい地域です。又、江の島や海水浴場など有数の観光名所としても知名度があります。また、都心まで近い距離にありベットタウン化しているため、とても優秀な方が暮らしています。この地の利を活かした事業が多いです。寝に帰るだけの方が60歳前後に起業して新しいビジネスにチャレンジする。とても多いです。例年、藤沢市等で起業・創業を検討している方の事業展開の創出の機会を目的として開催している「湘南ビジネスコンテスト」は、そのような方に参加を頂き盛況です。
14地域の魅力や、まだ知られてないポテンシャルって、どこにあると思いますか?
藤沢市の魅力として、まずは交通アクセスと利便性が良いですね。都心との公共交通も整っています。そして、江の島・湘南海岸など強力な観光ブランドがあります。
教育分野に目をむけますと、日本大学・慶應義塾大学・湘南工科大学・多摩大学と市内人口の規模の割には大学の数が多いと思います。つまり学園都市的な、教育の推進に注力していると思います。また、主婦が暮らしたい、生活したい街として上位に位置付けられ、実際に子どもや若者層が多く、地域に根差した人材育成の地盤があるのも魅力です。企業に関しても医療・IT・教育・福祉といった多業種の企業が藤沢市に進出している傾向があります。当財団のインキュベーション施設にも数社入居して活躍しています。この他、語りつくせないほど多くの魅力がありますが、数多く人々暮らしや企業の事業展開にも優位性が高い地域です。
まだ掘り切れていない潜在する点は、観光に関しては、日帰り中心で終える方が占めているので、「宿泊・体験・学びを組み合わせた観光産業の拡張」というパッケージ化したサービスが可能性として挙げられます。例えば、「江の島×夜間ライトアップイベント」や「サーフィン×リモートワーク(ワーケーション)」といったものです。観光の再定義をして、体験型・滞在型ビジネスというのは、上手くマーケティングをしていけば需要があると見込みます。
◆すこしプライベートに
15休日の過ごし方や、リフレッシュの方法ってありますか?
関東が多いですが旅行をすることです。その土地のものを食し、理解しようと思って旅しています。最近クマが出没しますが、自然が多いところに行っています。滝を見るのが好きなんです。また、フルマラソンに参加しています。年に1回ですがこの1回に命をかけています。聞こえはいいですが実は体調管理のためなんです。
16実はこんな一面もあるんです、という意外なご自身の一面って?
こんな一面と言われると、どうなのかなと思いますが、業務で一生懸命動くと言いましたが、プライベートも一生懸命動きます。具体的に例をあげれば、2018年8月のBI実習で当施設にお越し頂いたIMの皆さんとは今でも定期的に交流して親睦を深めています。皆さん市外・県外の方で遠方から藤沢市まで来てくれるんですよ。すごいですよね!おもてなしの精神で毎回お迎えします。藤沢市内をはじめ、色々な場所を案内し夜中まで飲みます。すごく楽しい時間を過ごしています!こういう交流を深めることができるのは、IMとして活動してきたおかげだと思っています。ということで、プライベートもアクティブに一生懸命に動くといったところですかね。
◆これからのこと
17これから、地域や起業家支援でチャレンジしてみたいことは?
現在ロボットに関わっており、ロボット関係の企業にも起業家がいて、特に30代の若い方々と話をする機会が格段に増えました。このような人たちにも私が有効なんだということがわかりました。ロボットに関わる起業家を支援し、ロボット導入の普及・啓発を進めたいと思います。
18これから起業を目指す人や、支援に関わる人へのメッセージをお願いします。
起業を目指す人については、地域の課題解決も大事なのですが、もっと風呂敷を広げて事業を組み立てていただきたいです。支援に関わる人については、いつか支援していることが嫌になる時がきます。それでいいのです。それでもやり続けて下さい。やり続けることが起業家をする私たち起業家支援者だと思います。共に頑張りましょう!
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